朝日新聞 昭和49年(1974年)7月17日 朝刊

中央(山岳部分)四国(海底部分)新幹線 調査開始を指示 
 
 徳永運輸相は16日、基本計画の決まっている12新幹線のうち、中央新幹線の山岳部分と四国新幹線の海底部分について調査を始めるよう、国鉄と鉄道建設公団に指示した。運輸省は総需要抑制下であるため、12新幹線の調査開始には慎重な態度をとってきたが、田中首相が参院選の遊説で、四国新幹線の調査を地元に約束していたこともあり、難工事が予想される部分に限って、今年度から調査を始めることにした。

 中央新幹線は東京、甲府、名古屋、奈良、大阪を結ぶ480キロ。このうち調査対象地域は甲府、名古屋付近の山岳地帯90キロ。南アルプス、中央アルプスを通るため数多くのトンネル工事が予想される難工事地域である。

 調査項目は地形と地質調査で、踏査、ボーリング、航空測量などが予定され、調査費は今年度2億円。3年を目途に調査する。

 四国新幹線の方は大阪、大分を結ぶ510キロ。途中で四国を縦断し、四国と九州は海底トンネルでつなぐ。この豊予海峡を横切る部分が調査対象となる。

 海底トンネル部分は延長15キロ。深さ150−160mで、現在工事中の青函トンネルに比べ長さでは8キロ短いが、深さは50メートルから60メートル深いため、かなりの難工事になるものとみられる。

 調査項目は音響測定、ボーリング、地震探査、音波探査、潜水調査など。調査費は今年度2億円で5年を目途に調査する。

 運輸省では、12路線のうち2路線の調査を始めたのは両路線が難工事地域を含んでいるためで、両路線を優先するものではないといっている。同省の話では、他の路線は平野部が多く、1年から1年半で調査できるという。

 中央、四国新幹線は12新幹線のうち調査のトップバッターとなったわけだが、この調査は目標年次よりかなり長期になるとみられ、調査のあと順調に工事が進められたとしても、当初完工予定の60年度は大幅にずれ込むものとみられる。

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