朝日新聞 昭和48年(1973.)年 9月29日  夕刊

新幹線網追加路線 諮問は延期 官房長官指示 批判論に一歩後退 

 二階堂官房長官は29日首相官邸で後藤田官房副長官、秋富運輸相鉄道監査局長と全国新幹線網建設問題について協議した結果、来月5日開かれる鉄道建設審議会には、すでに建設の決まっている東北、九州など5路線の正式承認を求めるのにとどめ、西日本縦断新幹線、奥羽新幹線などいわゆる追加路線の諮問は延期するよう指示した。

 これは、田中首相ベースで進められている新幹線計画に対し、28日の閣議で示されたように閣内からも「物価へのはね返りが大きい」とする批判、慎重論が相次いだためで、これら追加路線の扱いについては、自民党と運輸省が早急に協議することとなった。

 これまで政府、自民党首脳は、追加路線を含めて来月5日の審議会に諮問する腹づもりだったが、強い批判を受けて一歩後退することになった。具体的には、来月5日前にも鉄道建設審議会長を務める鈴木自民党総務会長が倉石政調会長らと話し合い、これら追加路線を来月17日に予定される同審議会に政府から諮問するか、あるいは同審議会独自の建議案としてまとめるかなどを含め、その扱いを決めることになろう。

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