朝日新聞 昭和45年(1970年)5月14日 朝刊 

規模・財源など触れず 新幹線法かけこみ成立 

 全国にくまなく新幹線網をはりめぐらそうという全国新幹線鉄道整備法が、今国会の会期最終日の13日夜の本会議にすべり込み、土壇場で成立した。

 この法案を整備したのは衆・参院とも2日ずつだけ。法案が提出されたときからの問題点だった財源、規模、着工順位などもあいまいなうえ、提案者と政府側の食違いもそのまま残され、熱をあげている地方の期待とは逆に「これでは絵にかいたモチ」との声も出ている。

 この法律は運輸大臣の諮問機関である鉄道建設審議会(会長、鈴木善幸自民党総務会長)の決定に基づいて自民党提案による議員立法の形で今国会に提出された。すでに審議会の段階でも肝心の財源をどうするかや着工順位についてもふれていなかったのに加え、国会提出の段階で当初予定されていた全国の県庁所在地と主要都市をつないだ9000キロにのぼる地図もはずされて、ますますつかみどころのない抽象的なものになった。

 しかし、この法案に対する各地の関心は大きく、とくに地域開発の遅れいている東北、日本海側、九州などを中心に早くも着工順位をめぐって激しい陳情合戦が始っている。


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