朝日新聞 昭和45年(1970年)3月6日 朝刊

全国新幹線網の建設促進 各党共同で今国会提案
 60年完成めざす 財源、46年までに結論 自民案骨子
 

 運輸大臣の諮問機関である鉄道建設審議会(会長、鈴木善幸 自民党総務会長)は、5日午後、東京の赤坂東急ホテルで総会を開き、全国鉄道新幹線網の整備について審議した結果、小委員会(小委員長、水田三喜男 同党政調会長)で早急に内容を煮つめ、11日の総会にはかったうえ「新幹線建設促進法案」として、各党共同提案の形で今国会に提出することになった。

中心都市結び9000キロ 

 また、鈴木会長はこのあとの記者会見で「総延長9000キロ(山陽新幹線含む)、昭和60年度までに完成、総建設費11兆円余り、という去年9月の自民党案が骨子になろう」と語った。最大の懸案事項となっている財源については、46年度予算の編成までに、政府と自民党との間で結論を出すことになっている。

 この日の総会には、鈴木会長から法案の基本的な考え方としての@路線は法律の別表で明らかにするA路線の選定については、国土の均衡ある開発をはかり、全国の交通運輸体系の根幹になるものだけに、中枢管理機能が集っている地方圏の中心都市を結び、全国の地方中核都市も効率よくつながるようにするB建設に着手する路線は、運輸大臣がこの審議会にはかって決め、国鉄と鉄道建設公団が建設にあたるC建設資金については国が特別に配慮する――という試案を示し、了承された。

 ただ、審議会の委員である沼田大蔵事務次官が、「資金については国だけでなく、地方公共団体の協力や民間資金の活用も必要だ」と発言したので、これをどう盛込むか、小委員会で検討することになった。

 また、この日の総会では、委員の間から@新幹線以外で建設が決まっている路線や赤字線の問題があるが、新幹線網を提案することに問題はないかA財源はどうするのかB今国会に急いで提案する理由は何か、などの質問が出た。これに対し、鈴木会長、足元運輸相、田中自民党幹事長らは@最近の目ざましい経済社会の発展、国民生活の向上からみてどうしても必要であり、いまから手をつけないと間にあわないAかねてからの申合せにより46年度予算の編成までに財源措置を最終決定するが、責任をもって手当てするつもりだ――などと答えた。

 新法案の骨子になるとみられている自民党案は、去年9月17日に同党の国鉄基本問題調査会(大橋武夫会長)と交通部会(細田吉蔵部会長)の合同会議で決ったもの。全国の県庁所在地と主要都市をくまなく結んでおり、建設費の半分を財政投融資などの政府出費で当て、残りを公債や新税でまかなうことになっている。9000キロという総延長は、経済企画庁のまとめた新全国総合開発の7200キロを大幅に上回るものである、

鈴木会長の話 
 新全国総合開発計画が60年度を目標としているので、これが完成のメドになろう。11日に決めて各党に働きかけ、20日ごろには提出したい。

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