朝日新聞 昭和41年(1966年)9月27日 朝刊

国鉄 10年後の構想 盛岡−博多、直通に 新幹線 第二東海道も 

 国鉄は10年後までの鉄道整備について基本構想をまとめ、26日国鉄諮問委員会(委員長 原安三郎日本化薬社長、総裁の諮問機関)に説明した。この構想は
@51年ごろまでに東京−盛岡を結ぶ東北新幹線を建設することにし
A東海道新幹線と並行してもう一本第二東海道新幹線を増設する必要性を述べ
B首都圏に都市開発と組合わせた放射状の「通勤特急」幹線5本を建設することを提案
C貨車とトラック輸送を結合する新しい貨物輸送方式のプラン
を明らかにしている。いずれも新しい鉄道のあり方をめざすかなり大胆な構想だが、比較的実現性のある「方針」と、資金の援助が得られればやりたいという「提案」とか織りまぜられ、全体としては具体的計画作成のための「瀬ぶみ」の性格が強い。国鉄は新長期経済計画を立案中の経済審議会社会資本分科会にこの構想を提示、長期的な国家資金の割り当てを要望することにしている。

貨車・トラック輸送を直結 

本州縦貫新幹線 東北新幹線は東京から宇都宮、仙台付近を経て盛岡まで延長約530キロ、工費約4500億円で、国鉄では46、47年ごろの着工の腹づもりをたてている。

 一方、山陽新幹線は46年度に岡山まで、48年度に広島まで、50年度に博多までも完成する方針がすでに固まっており、東海道新幹線と結び10年後には博多から盛岡まで直通する本州縦貫新幹線が形づくられることになる。

 さらに東海道地域の人口、産業の集中傾向からみて、現在の東海道新幹線の北側に第二東海道新幹線(東京−大阪間約500キロ)をつくることが必要になろう、としている。

 これには6000億円の資金を必要とするので、国鉄としては、もし特別な政府資金の援助を得られれば47年ごろから着工してもよいとの意向だ。実現した場合には超特急「ひかり」と特急「こだま」を両方の新幹線に分離して運転、超特急貨物列車も走らせる。

 これらの新幹線がいわば背骨になり、主要都市に対しては、それから直接ロッ骨のように延びる幹線が強化され、そして新幹線はすべて現在の東海道新幹線(最高時速210キロ)よりスピードアップして最高時速250キロとし、その他の幹線の最高時速も現在の110キロから130キロにあげる。この結果、所要時間は別表(略)のように大幅に短縮したいという目標がたてられている。

通勤特急の新線 さきに常務理事会で検討した試案に基づき、東京を中心に放射状の通勤用新線5本(1本は東北新幹線の宇都宮までを兼用)の建設が望ましい。スピードは現在の新幹線「こだま」なみに、最高時速160キロ、東京から千葉県成田空港(約50キロ)茨城県中央部(約100キロ)群馬県南部(約100キロ)神奈川県湘南地区(約70キロ)栃木県中央部(約100キロ)までの各ルート、所要時間30分−50分を想定する。―以下は略―

貨物構想の新方式 
―略―

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