リニア計画と南アルプスに関わる主なできごとH
2018(平成30)年度
 

4月1日   静岡市は「静岡市中央新幹線建設事業影響評価協議会」を設置。設置目的は「中央新幹線の建設事業により生ずる環境等に関する影響について専門的な見地から調査審議すること。」とされている。 静岡市役所  
5月9日   JR東海が大深度地下の公的使用に関する特別措置法(大深度地下法)に基づく使用許可申請書を公表。 JR東海ホームページ  
5月10日   JR東海は大深度地下使用認可の申請内容について沿線住民への説明会を開始。 日本経済新聞  
5月22日   JR東海は長野県大鹿村の南アルプストンネル除山非常口の掘削工事にて、火薬を用いた発破作業を開始したい意向を、非常口最寄りの釜沢地区住民に提案。反対意見が相次いだ。  
5月24日   南アルプス自然環境保全活用連携協議会が山梨県南アルプス市で開かれる。南アルプスユネスコエコパーク科学委員会の設立を決定。また、管理運営計画が承認される。  
5月29日   国土交通省が3月に認可した電気施設等の工事実施計画について、リニア建設に反対する住民486人が同省に対し、行政不服審査法に基づく審査請求を行う。 リニア・市民ネット
(PDF) 
5月31日    長野県大鹿村とJR東海は、南アルプストンネル工事で同村に排出される発生土約300万立米のうち10万立米をグラウンド整備に、0.45万立米を河川敷のかさ上げに用いることを発表。また、河川敷への仮設道路整備が遅れていることを報告し、6/1より暫定迂回路で発生土運搬を開始。 中日新聞 
「美しい村」の議員日記 
6月11日   岐阜県各務原市で中部9県と名古屋市による中部圏知事会議が開かれる。国への要望事項に、三重県がリニア中央新幹線の早期全線開業に向けた働きかけを盛り込むよう提案したのに対し、静岡県の川勝知事が大井川への影響に懸念があると指摘。  
6月13日   JR東海の金子慎社長は定例会見で、前日の中部圏知事会議について記者から問われ、大井川の流量を維持するためトンネル内にポンプを設置することを静岡県に提案したと述べる。ただしポンプを設置する案自体は2015年以来繰り返されている。 ブログ記事 
(静岡新聞
中日新聞) 
同日   長野県高森町とJR東海は、リニアガイドウェイ製造施設の建設工事に向けた協定を締結。  中日新聞 
6月19日   静岡県の川勝平太知事は、JR東海との交渉を知事戦略室に集約して対応していく方針を表明。 静岡新聞  
6月20日   静岡市とJR東海は、JR東海の全額負担により県道三ツ峰落合線にトンネル(約4q)を建設することで合意。関連工事は静岡市が担う。また静岡市はリニア工事の手続きに協力する方針を表明。  静岡新聞 
6月22日   20日に静岡市とJR東海とが交わした合意文書について、静岡県の川勝平太知事は水問題が解決されていないなどとして強く批判。大井川流域自治体にも戸惑いの声が広まる。
6月26日   静岡市の田辺信宏市長は20日の会見について、大井川の水問題が解決されたかのような誤解を与えるものだったとして、この部分に関し発言を撤回  
6月27日   JR東海は、環境影響評価法に基づく平成29年度の事後調査結果を公表。 JR東海HP  
7月4日   JR東海は大井川流域の利水者に対する説明会を島田市内で開催(非公開)。利水者からはJR東海の示す水資源対策に対し疑問の声が相次ぐ。  
7月12日   長野県中川村において、同村内の四徳大橋付近で営巣中であった絶滅危惧TB指定の野鳥・ブッポウソウが、巣を放棄していたことが報告される。付近ではリニア工事車両の通行円滑化のため道路整備事業が進められており、工事による影響が疑われたため、翌13日より作業が中断される。
同事業にかかる長野県による公共事業配慮書 
⇒8/23工事再開の見通し 
中日新聞
信濃毎日新聞
  
8月2日   静岡県は、大井川の流量保全についてJR東海との交渉窓口を一本化させるため、大井川利水関係協議会を開設。県と流域の8市2町、11利水団体から構成されるが静岡市は不参加。県はJR東海、静岡市双方の姿勢を批判。流域の首長からも静岡市の姿勢を批判する声が出る。 静岡新聞1
静岡新聞2   
同日   立憲民主党の国会議員3名が南アルプス静岡工区を視察。   
8月6日   中部電力は大鹿村内に計画しているリニア専用の電力供給設備(延長約15kmの送電線設置)工事にかかわる自主環境影響評価の結果を、大鹿村役場と飯田市の同社事務所で開示。内容の複写等は禁じられているため村民以外が内容を検証するのは困難。   
8月7日   JR東海は静岡市葵区の井川地区で住民向け説明会を開催。同月末には作業員宿舎の設置にとりかかり、秋には林道東俣線の整備に取り掛かる意向を説明。 中日新聞  
静岡新聞 
同日   静岡市の田辺信宏市長は定例会見で、大井川利水関係協議会に静岡市が参加しなかったことは、大井川流域8市2町の意向であったと説明。  
8月8日   静岡県は、トンネル建設にともなう大井川の流量減少が与える影響を検証するため、県内外10名の専門家からなる有識者会議を発足させた。2018年度中に意見をまとめ、JR東海に提出する見込み。 静岡新聞  
中日新聞 
8月13日   静岡市の市民団体が静岡市に対し、同市林道条例の規則に則り、JR東海が通行等の認可申請をした際には慎重な審査を求めるよう申し入れた。 静岡新聞  
8月29日   JR東海は伊那山地トンネル(青木工区:斜坑0.6q、本坑3.6q)の工事説明会を長野県大鹿村で開いた。発生土量65万立米のほとんどが行き先未定のまま。  南信州新聞  
9月14日   静岡市は、市条例により一般車両の通行が禁止されている林道東俣線において、JR東海が南アルプス山中の作業員宿舎(3ヵ所)建設のため資材搬入車両を通行させることを許可。JR東海は18日から資材搬入を開始すると発表。

 同日JR東海は2種類の文書を公表。
●静岡県環境影響評価条例に基づき「
事後調査報告書(平成30年9月)宿舎建設前」を作成、静岡県知事および静岡市長に送付。同報告書についての県民等による意見提出期限は同年10月14日である。
●「
静岡県内中央新幹線建設工事に伴う宿舎等工事における環境保全について〔・中央新幹線南アルプス新設(静岡工区)工事・静岡県導水路トンネル新設工事〕」を公表。
静岡新聞  
中日新聞 

静岡県庁 
9月18日   JR東海は南アルプス山中の静岡市葵区椹島へ資材搬入を開始。プレハブ小屋を設置し、工事が始まる。静岡県の川勝平太知事は、「JR東海から事前に工事についての話はなかった」とコメントするが、JR東海側は「13日に県の窓口の環境局と交通基盤部に18日から宿舎工事に着手することを伝えた」として反論。  静岡新聞 
産経新聞 
中日新聞  
9月20日   静岡県はJR東海に対し、「意見・質問書」を送付。大井川流量予測の試算根拠、水質への影響についての説明、地元に対する説明、等について情報開示を求めたもの。10月10日までの回答を求めている。  
10〜12月   長野県大鹿村にて、発生土運搬車両の通行ルートとなる予定地の地権者とJR東海側との交渉が難航。地権者側が長野県公害調停員会に調停を申請し、県はこれを受理。   
10月10日   JR東海は、10月10日までの回答を求められている静岡県からの質問書について、県との協議の結果、回答を延期することにしたと発表。  静岡新聞  
10月17日   国土交通省は、平成30年3月20日にJR東海から申請のあった中央新幹線品川・名古屋間建設工事の大深度地下の使用の認可について、平成30年10月17日付けで認可した 国土交通省  
10月18日   JR東海が、トンネル湧水の全量を大井川に戻す方針を県に伝えていたことが報じられる。 静岡新聞  
10月19日   静岡県の川勝知事は記者会見で、JR東海が質問書の回答と、大井川の流量保全についての協定案とを県に提示したと報告。JR東海は「原則としてトンネル湧水を全量戻す」との認識を示したことに対しては「中途半端」であると表現。  静岡新聞  
産経新聞
11月19日   静岡県の川勝知事は、大井川交差部地下でのトンネル工事は、県による河川法上の許可が必要であるとの認識を示す。 

⇒国土交通省  
河川法敷地占用許可準則 
産経新聞 
静岡新聞 
中日新聞 
11月21日   静岡県庁にて、「第2回南アルプス自然環境有識者会議地質構造・水資源部会」および「第8回静岡県中央新幹線環境保全連絡会議」が開かれる。   静岡県庁   
12月下旬   愛知県名古屋市中区の名城非常口工事現場で、大量の出水により立坑が水没し、掘削工事が中断した。掘削深さ50mのうち25mが水没したという。JR東海は、作業再開は秋ごろになると説明している。なお報道されたのは2019年3月16日 産経新聞  
12月25日   静岡市はJR東海に対し林道東俣線の冬季通行を許可。翌26日から2019年4月26日まで。冬季も引き続いて宿舎建設等が続けられることになる。   
12月28日   静岡県はJR東海に対し、「中央新幹線建設工事における大井川水系の水資源の確保及び自然環境の保全等に関する質問書」を送付  静岡県庁  
12月31日   中日新聞にて、静岡県内における発生土置き場広報地の燕沢平坦地は、過去4度、岩屑雪崩に見舞われたとする専門家の研究結果が報じられる。 
⇒長谷川 裕彦, 小久保 裕介, 菅澤 雄大(2018)「南アルプス南部,千枚岳東面上千枚沢の岩屑なだれ堆積物」 2018年度日本地理学会春季学術大会 発表要旨
中日新聞 

2019年(平成31年)   

1月16日   大井川流域の8市2町の議会がJR東海に対し、大井川の水環境や南アルプスの自然環境の保全に万全を期すよう要望する文書を提出。 静岡新聞  
1月25日   12月28日送付の質問書への回答に基づき、環境保全連絡会議「地質構造・水資源専門部会」の会合が県庁で開かれた。議論は平行線をたどる。 静岡新聞  
1月27日   山梨県知事選挙が行われ、 長崎幸太郎氏が初当選。長崎氏はリニア山梨県駅の整備計画について抜本的な見直しを訴えており、県が整備構想の取りまとめ作業を中断するなど波紋が広がる。 2/14
読売新聞  
1月30日   25日に引き続き、環境保全連絡会議「生物多様性部会」が静岡県庁で開かれた。再び議論は平行線をたどる。 中日新聞  
2月4日   超党派の国会議からなる「公共事業チェック議員の会」が静岡県庁を訪問。南アルプストンネル建設による諸問題について、静岡県側からのヒアリングを実施。  
2月5日   リニアのルート上となっている山梨県南アルプス市の住民グループ(約250人)が、高架橋の出現により住環境が悪化するとして、4月にもJR東海に対し工事の差止めを求める訴訟を起こすことを決定。  
2月15日   阿部守一長野県知事と金子慎JR東海社長とが都内のJR東海本社で会談。阿部知事は環境保全や安全対策の徹底などを要請。席上、金子社長は防音防災フードについて、全体の路線で検討するとの回答をしたという。  南信州新聞  
3月13日   静岡県庁で中央新幹線環境保全連絡会議が開かれる。JR東海は、
・先進ボーリング坑にて10m当たり50リットルの湧水が生じた場合には工法の変更などを検討する。
・本坑掘削時に湧水量が毎秒3トンを超えた場合には工事を中断する。
との案を提示。県は「大きな評価」と評し、対話を進める姿勢を見せた。協議と並行して本体工事に着手したいとするJR東海の提案には否定的見解を示す。 
静岡新聞(13日)
静岡新聞(14日)
産経新聞  
3月22日   JR東海の金子社長は記者会見で、大井川の流量保全問題について、リスク管理の考え方について理解が得られたと思うとし、新年度中に静岡工区での掘削工事を始めたいという意向を示す。  朝日新聞  


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