リニア計画と南アルプスに関わる主なできごとG
2017(平成29)年度
4月1日 | 山梨県が同月中に早川芦安連絡道路整備事業に着手することを決めたと報じられる。同道路の整備にあたり、リニア・南アルプストンネルからの発生土のうち120万立米を盛土として用いる計画であり、JR東海が盛土費用67億円を負担するという。 | 山梨日日新聞 |
4月3日 | 静岡県における事後調査結果(導水路トンネル、工事用道路計画)に対する静岡県知事意見がJR東海に手交される。 | 静岡県庁HP 静岡新聞 |
4月10日 | リニア建設にともない南アルプスの環境が損なわれるとして、登山者らが計画反対署名3912筆を集め、近く国、JR東海、関係自治体、登山用品店、山小屋等に配布すると発表。 | 中日新聞 |
4月17日 | JR東海は、山梨県早川町塩島地区の発生土置場について、当初盛土量を3万立米としていたものが、前年10月27の掘削工事開始から早くも一杯になったとして、さらに3万立米上乗せして盛土すると発表。 | JR東海 |
4月19日 | 長野県内のリニア沿線市町村と長野県との意見交換会が開かれる。 | |
4月27日 | 南アルプストンネル長野側の除山非常口(大鹿村)において掘削作業が開始される。 | |
同日 | リニア中央新幹線の早期実現を目指す山梨県議会議員連盟9名が同県早川町の南アルプストンネル非常口の工事現場を視察。 | |
同日 | 事後調査結果についての静岡県知事意見に対するJR東海の見解が県に送付・公表される。具体的な回答はみられない。 | 静岡県庁HP 静岡新聞 |
4月28日 | ”ストップ・リニア訴訟”の第4回口頭弁論。山梨実験線建設にともなう環境被害について原告側より意見陳述。 | ストップ・リニア訴訟原告団 |
5月6日まで | 長野県大鹿村上蔵地区の保安林解除通告に対して全国から提出された異議申立て100通余に対し、農林水産大臣名で全員に「保安林の解除に直接の利害関係を有する者とは認められない」とする書面が通知される。 | |
5月15日 | JR東海は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から、リニア中央新幹線の建設資金の一部となる7500億円を17日に借り入れると発表。金利は固定で年0.9%。2055年11月17日までに返済する予定。 | |
5月19日まで | JR東海が計画している長野県豊丘村の本山発生土置場候補地に関し、発生土を受け入れた地権者の森林組合について、適切な組合運営が行われてこなかったとして長野県が改善を指導。発生土を受け入れた決定の有効性が問われる事態となった。 | 信濃毎日新聞 |
5月22日 | 山梨県富士川町の住民グループが県に対し、リニア高架橋への防音防災フード設置を求める要望書と約2000名分の署名を提出。 | |
6月7日 | JR東海は、南アルプストンネルの静岡県側工区について、建設工事の見積もり公募を開始。 | 日本経済新聞 静岡新聞 |
6月12日 | 市民団体「南アルプスとリニア新幹線を考える市民ネットワーク静岡」は、静岡県知事選挙(25日)への立候補者に対して行った、リニア新幹線に関する公開質問の結果を発表。 | 静岡新聞 |
6月13日 | JR東海は、山梨県早川町西之宮地区に、新たに9万立米分の発生土仮置場を設けるとして、環境調査結果を公表。 | JR東海 |
6月29日 | JR東海は平成28年度の事後調査報告書を公表。 | |
7月3日 | JR東海は長野県大鹿村にて南アルプストンネル小渋川非常口の掘削作業を開始する。 | 南信州新聞 |
7月10日 | 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、JR東海と中央新幹線の建設に係る第5回貸付契約を締結。これにて総額3兆円の財政投融資が確定。 貸付契約額/7500億円 貸付予定日/同年7月12日 利率/1.0%(財政融資資金貸付金利、全期間固定) 弁済期限平成68年1月12日 返済方法/平成58年7月まで据置、遺構、元金均等返済 契約締結日/平成29年6月26日 |
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8月1日 | 静岡市による「平成28年度南アルプス環境調査」の結果が公表される。大気・水質、動植物の現況調査とトンネル工事による水資源への影響予測がなされた。水資源予測ではJR東海の導水路案の効果を疑問視する結果がだされ、環境影響評価手続きでは確認されなかった重要種が見つかっている。 ⇒関連ブログ記事 |
静岡市役所 静岡新聞 日本経済新聞 |
8月10日 | リニア中央新幹線の営業用車両LO系先頭車両の製造を担当した三菱重工業が、開発・量産から撤退する方針であると、新聞各紙において報じられる。 同社は豪華客船事業の不振、ジェット旅客機MRJの開発遅れなどにより経営事業が悪化しており、事業の合理化を進めているとされる。 | 産経新聞 中日新聞 |
8月23日 | 南アルプストンネル山梨工区にて掘削現場が報道陣に公開される。 | |
9月8日 | 「ストップ リニア訴訟」の第6回口頭弁論が東京地裁で開かれる。静岡県在住の原告および原告代理人弁護士が意見陳述。 | リニア・市民ネットのブログ |
同日 | 山梨県富士川町は防音防災フードの設置を希望するかどうかを問う住民投票の条例案を定例町議会に提出。 | |
9月16日 | 山梨県の公共事業評価委員会は、県道南アルプス公園線の6橋の強化工事において、事業費を17億7500万円増額して24億7700万円に変更し事業を継続していくことを了承。リニア・南アルプストンネルから早川町内への発生土を早川芦安連絡道路整備予定地に運搬するルートにあたる。 | 日本工業経済新聞 |
9月19日 | 山梨県富士川町議会は、8日に提出された住民投票の条例案を否決。 | |
9月25日 | JR東海は、中央新幹線品川・名古屋間の工事実施計画(その2)の認可を国土交通大臣に申請。 |
JR東海ホームページ |
10月10日 | 静岡県の川勝平太知事は、4月の意見書にて、同月中にJR東海と大井川下流の水利権保有者との間に結ぶよう求めた協定がいまだ未締結であることを批判。「静岡県にはメリットがない」とも。 ⇒これに対しJR東海の柘植社長は翌日、「誠心誠意進めている」「静岡県にもメリットがある」と反論。 |
静岡新聞 読売新聞 産経新聞 日本経済新聞 |
10月17日 | JR東海は、南アルプストンネル内での湧水を排水するために計画している導水路トンネルについて、施工業者が決定したと発表。契約締結日は平成29年10月17日、工期は平成29年10月18日から平成36年4月30日まで。 | JR東海ホームページ 静岡新聞 |
11月1日 | JR東海は、山梨県早川町と富士川町にまたがる第四南巨摩トンネル西工区について、新たな工事ヤードを設置することを発表。 | JR東海ホームページ |
11月8日 | JR東海の柘植社長は記者会見で、大井川下流域の水利権保有者との協定について、締結寸前までいっていたとしたうえで、今後は担当者が利水団体を訪ね説明を行うと話した、 | 静岡新聞 |
11月15日 | JR東海は、南アルプストンネル静岡工区について、 大成建設、佐藤工業、大豊建設の共同企業体と工事契約を結んだと発表。工事は同月16日から2026年11月30日まで。 静岡県の川勝知事は環境保全策が不明確な段階での工事契約について「遺憾の意」を示す。⇒静岡新聞 |
JR東海ホームページ 静岡新聞 |
同日 | JR東海は山梨県早川町内に新たな発生土仮置場2か所を設置することを明らかにし、環境調査結果と保全策を公表。塩島地区河川側と奈良田地区の2か所。 | JR東海ホームページ |
11月16日 | 静岡県内の市民団体と日本山岳会静岡支部がJR東海に対し抗議、要望書を提出。 | 静岡新聞 |
11月17日 | 静岡県はJR東海と下流利水者で締結を目指している協定について、同社に対し「前提が崩れるのであれば、白紙撤回せざるを得ない」と口頭で申し入れ。翌日JR東海は「誠実に対応する」とコメント。 | 静岡新聞 |
11月24日 | JR東海の柘植社長は記者会見で、静岡県内での着工遅れが全体計画の遅れにつながることへの懸念について言及。大井川の流量減少が懸念されることについて年内に具体策を示すと発表。同日、静岡市の田辺市長は会見で、JR東海との交渉は納得できる段階に至っていないことを明らかにする。 | NHKニュース 静岡新聞 中日新聞 |
11月28日 | 中部電力の勝野哲社長は会見で、リニアの南アルプストンネル工事にともない大井川の流量が減少すると予測されていることについて、発電用水への影響を念頭におきJR東海と何らかの協議が必要との認識を示す。 | 静岡新聞 中日新聞 |
12月1日 | 山梨県早川町で、町内を通行する工事用車両が観光業等に与える影響把握のためのアンケート調査が開始される。 | NHK山梨 (個人ブログ収録) |
12月4日 | 大井中・下流部の住民が「大井川を再生する会」を結成し、初めての会合を開く。中部電力の水利権更新への対策やリニア建設に伴う河川への影響について協議を行うとしている。 | 朝日新聞 |
12月7日 | 静岡市葵区の井川地区で、住民を対象とした説明会が非公開で開かれる。 | 静岡新聞 |
12月9日 | リニア中央新幹線の工事入札にて不正が行われたとして、東京地検特捜部は工事を受注した大手ゼネコン大林組を偽計業務妨害容疑で捜索、強制捜査に乗り出した。 10日の報道で、不正入札が行われたのは名古屋市の名城非常口新設工事であったと報じられる。 主要な報道記録 9日〜10日 名古屋市名城非常口の入札で不正があったとてして大林組が捜索を受けたとの報道 11日 鹿島建設に対しても任意の事情聴取があったと報じられる。JR東海が調査委員会を設置。 12日 JR東海社員が漏えいに関わった可能性があると報じられる 13日 大林組と鹿島との接触、清水建設と大成建設に対する事情聴取、JR東海社長の会見等の報道。 14日 大林組がJR東海から価格を聞いたとの報道、大林組が固執した背景、NHKのまとめた記事。 |
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12月13日 | JR東海の柘植社長は会見で、未着工の静岡工区について言及。同意を待たず着手する可能性について示唆。 | 静岡新聞 |
12月15日 | 長野県中川村の道路脇で土砂崩れが発生。現場の約15m下では、JR東海がリニアの工事用車両を通行させるための道路トンネルを掘削中で、土砂崩れの発生前には発破作業をおこなっていた。 | 南信州新聞 信濃毎日新聞 読売新聞 朝日新聞 NHKニュース |
12月18日 | リニア中央新幹線関連工事の入札をめぐり、東京地検特捜部は公正取引委員会と共同で大手ゼネコン4社が価格調整を行っていたとして、独占禁止法違反の疑いで鹿島建設、清水建設を家宅捜索。 主要な報道記録 18日 鹿島建設、清水建設を家宅捜索 19日 大林組が公正取引員会に違反を申し出。4社受注の15件で受注調整の疑い。 20日 事業認可以前より受注調整を行っていた疑いが強くなる。JR東海は入札制度の見直しを表明。 21日 ゼネコン間の受注調整の不調が問題発覚の端緒となったとされる。 22日 大手4社が中堅業者に圧力をかけていたことが判明。 23〜24日 一週間の総括記事など 25〜26日 大成建設幹部が受注調整の中心役を担っていたと報じられる。JR東海は再発防止策を発表。 27〜31日 清水建設も受注調整の事実を認めたと報じられる。 |
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12月19日 | JR東海は、15日に中川村内で発生した土砂崩れは、近傍で行われたトンネル工事での発破作業が原因であったと認める。 | |
12月20日 | JR東海の柘植社長は、南アルプストンネル静岡工区について、着工のめどはたっていないと言及。 | |
2018年 (平成30年) |
入札不正問題の主な記事 1月1日〜1月10日 1月11日〜1月20日 |
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2月1日 | JR東海は、愛知県内に計画している第一中京圏トンネル西尾工区の施工ヤード整備について環境保全計画を発表。 | JR東海HP |
2月21日 | JR東海は、長野県大鹿村釜沢地区に計画している残土処分場の環境保全計画を公表。南アルプストンネルからの発生土のうち3万立米を、残土として同地区に最終処分することとなる。 | 南信州新聞 JR東海HP |
3月2日 | 国土交通省は「中央新幹線(品川・名古屋間)の工事実施計画(その2)」について認可。JR東海が前年9月25日に申請を出していたもので、電気設備等を追加する。 | 国土交通省 |
同日 | 東京地検特年捜部は、大手ゼネコン4社が事前に協議して受注予定業者を決めていたとして、独禁法違反(不当な取引制限)容疑で、大成建設の元常務執行役員と鹿島の部長を逮捕。 | |
3月14日 | JR東海は、南アルプストンネル山梨工区にて、本坑の掘削に着手したと発表。全工区のうち列車の通る部分の工事に着手したのは初めて。 | |
3月20日 | JR東海は、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度地下法)に基づき、大深度地下の使用について国土交通大臣に認可を申請。 | |
3月27日 | 長野県は「南木曽町妻籠水道水源保全地区における行為の事前協議」に対する知事意見をJR東海に送付し、工事に同意。 | 長野県庁 |
3月28日 | 長野県大鹿村にて、村民立ち合いのもと、発破の騒音・振動の確認作業が実施される。 | |
3月29日 | 山梨県早川町にて、第四南巨摩トンネル(8672m) 西工区で非常口(斜坑)の掘削工事が始まる。 | |
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