リニア計画と南アルプスに関する主なできごとF
2016(平成28)年度

4月18日  JR東海は伊那山地トンネル建設に伴う水資源への影響の試算結果を公表。環境影響評価書にかかる国土交通大臣意見(2014年7月18日)において、補正評価書に記載すべき事項とされていたものであるため、補正評価書の公告(同年8月29日)より1年半遅れたことになる。
4月27日    南アルプス横断トンネルの西口となる長野県大鹿村で、JR東海は住民向け説明会を開催。住民からはJR東海の工事スケジュールならびに事業の進め方に対する疑問が相次ぐ。  ⇒⇒⇒ 
5月20日   リニア計画に反対する市民団体が、2014年10月に国土交通大臣から出された中央新幹線の事業認可取り消しを求め、東京地裁に提訴。   
5月25日  自民党の特別委員会が、2045年に計画されている大阪延伸時期を短縮するための検討を開始したと報道される。財政投融資の活用などで国が低金利で資金援助し、JR東海の資金負担を軽減する案が有力とみられる、とする内容。 産経新聞
時事通信
朝日新聞   
6月1日   安倍首相は記者会見で、JR東海が2045年開業を計画していた名古屋〜大阪間について、3兆円規模の低金利融資を行い、開業を最大8年前倒しする構想を表明。JR東海も受け入れに賛同していると報道される。 中日新聞
毎日新聞
産経新聞
読売新聞 
同日   長野県豊丘村内に計画されている大規模残土置場について、豊丘村長はJR東海に対し計画の除外を申し入れたと報道される。住宅地裏側の谷を埋め立てる計画であり、地震や大雨で残土が崩壊するおそれがあるとして、地元自治会から強い反対の声があげられていた。 中日新聞 
6月2日   平成28年度リニア中央新幹線建設促進期成同盟会総会が東京都内で開催される。 既成同盟会HP
6月8日    静岡市役所にて第4回中央新幹線建設事業影響評価協議会が開催される。JR東海は燕沢に設置する計画の大規模残土置き場について、上流側で大規模土石流が生じても河川への影響は変わらないとするシミュレーション結果を発表。これに対し、予測条件が限定的であり不十分とする意見が相次ぐ。 毎日新聞
 
同日  JR東海の柘植康英社長は名古屋市内で開いた記者会見で、リニア中央新幹線の大阪への延伸時期を現行計画の2045年から最大で8年前倒しする方向で政府と調整すると正式に表明。 日本経済新聞 
同日   JR東海は、長野県豊丘村内に計画されている大規模残土置場について取りやめることを発表。 信濃毎日新聞 
6月9日   6月1日の安倍首相の会見をうけて、経団連の榊原会長が大阪開業前倒しの方針を評価。 経団連HP  
6月27日   第17回大鹿村リニア対策委員会において、JR東海は同社の考える南アルプストンネル工事についてのスケジュール案を提示。最短で8月下旬に着工したいとしている。 南信州新聞  
6月28日   JR東海は環境影響評価法に基づき行われた、平成27年度の事後調査報告書を公表。同時に4月に公開した伊那山地における水収支解析結果について修正版を作成している。 JR東海HP 
7月11日   前日に行われた参議院選挙では与党が圧勝。記者会見で安倍総理は、経済対策について大胆な投資を行うと表明。リニア計画について触れ、財政投融資を積極的に活用し、「全線開業を最大8年間前倒しし、整備新幹線の建設も加速させる。東京、大阪。日本の二大都市を大きなハブとしながら、全国に広がる地方創生回廊をつくりあげ、成長の果実が全国津々浦々にまで行き渡るようにする」とする。 Yahoo!ニュース   
7月14日   東京都内にて、登山者らによる大会「リニアで南アルプスを壊さないで」が開かれる。今後、署名活動等を開始するという。 リニア新幹線を考える登山者の会 
7月20日   井川漁業組合と、渓流魚の保全・増殖を手掛ける「やまと渓流会」が、大井川に生息するヤマトイワナ等の保全について、JR東海に要望書を提出。 静岡新聞
中日新聞
産経新聞
  
7月21日   JR東海は、早川町の南巨摩第四トンネル西工区(2.6q)について、西松建設・青木あすなろ建設・岩田地崎建設からなる企業共同体(JV)と契約を結んだと発表。
 また、南アルプス長野県側へのアクセス道路となる主要地方道松川インター大鹿線道路トンネル新設工事において、西下工区について熊谷組・神稲建設JVと、四徳工区について戸田建設・吉川建設JVと契約を結んだと発表。
建設工業新聞
建設通信新聞   
7月27日   静岡市は南アルプスユネスコエコパーク登録地域内の、リニア工事に関わる範囲での2015年度環境調査結果を公表。既存の文献調査で南アルプスでの分布が確認されていない種も見つかった。 静岡新聞 
静岡市役所 
7月30〜31日   「リニアを考える自治体議員懇談会」主催による長野県内視察が行われる。  
8月2日   政府は経済対策を閣議決定。「未来への投資を実現する」として、財政投融資制度を利用し3兆円をJR東海に低利で貸し付け、リニア中央新幹線の全線開業を最大8年前倒しすることを盛り込む。
(野党の反応)
社民党・福島副党首 民進党・岡田党首  
朝日新聞 
読売新聞 
 
8月9日   JR東海は、中川村で開いた村リニア中央新幹線対策協議会で、県道松川インター大鹿線の改良に伴って新設するトンネル2本の本坑掘削を、来年初めに着手したいと説明。リニア中央新幹線の南アルプストンネル工事用車両を大量に通行させるための道路改良工事である。 信濃毎日新聞 
8月19日   国土交通省甲府河川国道事務所は、山梨県と静岡県を結ぶ中部横断自動車道について、重金属の処理、大量湧水、掘削面の崩落などにより工事が難航し、開通予定が大幅に遅れるとの見通しを発表。同自動車道の工事はリニアの予定ルート近郊である。   
8月25・26日   JR東海は、南アルプストンネルおよび県道改良工事についての説明会を長野県中川村および大鹿村内で開催。これについてJR東海の態度をめぐり住民側とトラブルとなる。詳細は右記記事を参照されたい。 信濃毎日新聞 
毎日新聞
8月31日   JR東海は、県道松川インター大鹿線改良工事の安全祈願祭をおこなう。2本の2車線トンネルを含む内容で、南アルプス本体工事に関わる工事用車両が通行するためのもの。 南信州新聞  
同日   超党派の国会議員で構成される「公共事業チェック議員の会」が山梨県内でのリニア建設予定地を視察。  
9月1日   これまでリニア中央新幹線の名古屋−大阪間の開業を掲げてきた大阪府・大阪市・関西経済3団体は、東京−名古屋間との「同時開業」の要望を取り下げることで合意。 産経新聞 
9月6日   JR東海は、長野県大鹿村での工事説明会を行う。南アルプストンネルの準備工事の秋から、本体工事は年明けから始めたいと説明。出席者から懸念・不安の声が相次ぐが、「理解が深まった」として事業に着手する姿勢を崩していない。なお「理解」されているかどうかについてJR東海が判断する姿勢も変わっていない。
信濃毎日新聞 社説 
南信州新聞 
信濃毎日新聞 
長野日報 
毎日新聞   
9月23日   国によるリニア計画の事業認可の取り消しを求める住民らによる裁判が東京地方裁判所で始まり、第一回口頭弁論が行われる。原告は住民など738名、「環境影響評価書に瑕疵がある」「安全性が確立されていない」「全国新幹線鉄道整備法に合致しない」にも関わらず国が事業認可したのは問題であるとする。 リニア・市民ネット  
9月29日   JR東海は伊那山地トンネルの坂島工区(5.1q)について、清水建設を代表とする共同企業体(JV)と工事契約を結んだと発表。 信濃毎日新聞  
10月3日  JR東海と長野県南部16市町村および県の参加する意見交換会が飯田市で開かれる。 南信州新聞  
同日   長野県大鹿村はJR東海に要望書を提出。村長と村議会とが合意を表したうえで工事に取り掛かるべき、トンネル工事着手前に発生土処分地を決定させるべきなど8項目。 信濃毎日新聞  
10月6日   JR東海は、山梨県早川町に掘り出す発生土に有害物質の含まれている場合を想定し、仮置場を同町大島地区に設置すると発表。8000㎥の容量を想定。同地点は坑口より約13q南に離れている。  JR東海HP  
10月13日   長野県大鹿村の住民18名が、リニア建設により平穏な生活が奪われるとして、工事の中止を求める仮処分を名古屋地裁に申し立てた。前年8月に住民だけで申し立てているが、今年6月に却下されており、弁護士を選定の上、改めて申し立てたもの。  
同日   長野県大鹿村観光協会がリニア工事による悪影響について県と協議。  
10月14日   JR東海は長野県大鹿村で工事説明会を開催。これが最後の説明会とし、「住民の理解は得られた」との考えを強調するが、住民からは「納得できない」という声。また同月3日に大鹿村から提出された意見書に対し、「基本的には村の意見を尊重する」と口頭で回答したことを明らかにした。 信濃毎日新聞
中日新聞   
10月18日   JR東海は、3日に大鹿村から提出された意見書に対する確認書を17日に同村へ提出。これを受けて同村議会は非公開の全員協議会(8名)を開き、議長を除く7名のうち4名が賛成を示しことから条件付きで確認書を承認し、修正案をJR東海に提出。こののち村長と議会が協議し着工に同意するか判断することになる。一方で村内の反対派住民からは、議論が非公開で行われたことなどについて批判の声があがる。 信濃毎日新聞
中日新聞 
 
10月26日   衆議院国土交通委員会にて、JR東海に財政投融資をおこなうための独立行政法人法改正を目的とした審議が行われる。  
10月28日   大鹿村の住民団体「大鹿リニアを止める実行委員会」が国土交通省と環境省に、リニアの工事中止を申し入れ。 中日新聞  
10月30日   11月1日に予定されている大鹿村での起工式を前に、県知事と地元関係団体との意見交換会が設けられる。 信濃毎日新聞  
11月1日   JR東海は南アルプストンネル長野工区の起工式を大鹿村内て開催。住民理解を掲げながら事業計画に全く変更の見られないJR東海の進め方に対し、地元住民からは抗議活動が行われる中での開催となる。
マスコミ報道の論調にも変化が見て取れる。
南信州新聞
 「
JR社長と阿部知事、JV代表が会見」「大鹿村でリニア南アトンネル起工式」  
信濃毎日新聞
 社説「リニア工事 住民の要望を最優先に」 11/2コラム「斜面」 
産経新聞
 リニア「南アルプストンネル」建設計画 “最難関”手探りスタート 長野・大鹿村の地元住民にくすぶる不安や反発 
中日新聞
 
「リニア南アルプストンネルで起工式 長野・大鹿村、県側で初」 「生活、観光、環境に影響は… リニア南アトンネル工事着工」
11月7日   名古屋市中区にて立坑建設の起工式が行われる。直径40m、深さ90mの穴を掘削するというもので、愛知県内では初の本格工事となる。  
11月11日   改正鉄道建設・運輸施設整備支援機構法が11日の参院本会議で可決、成立。
国土交通省 提出資料 
 
11月15日   政府はリニア中央新幹線の開業8年前倒しを支援するため、「独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令及び国土交通省組織令の一部を改正する政令」を閣議決定。 国土交通省   
11月21日   長野県松川町にて、リニアの南アルプストンネルからの残土搬入予定地下方の地域が、町に対し受け入れ反対を正式に表明。同地は昭和36年に土石流災害を被っている。 中日新聞  
11月24日   JR東海は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から29日に5000億円を借り入れる契約を結んだと発表。  
11月29日   長野県松川町における残土置き場接地問題について、町リニア中央新幹線建設工事対策委員会はJR東海に対し、説明責任を果たすよう求める要望書の提出を決定。  
12月6日   長野県飯田市への新駅設置のための用地買収について、JR東海、飯田市、長野県は「用地補償説明会」を同市内で開く。 南信州新聞  
12月9日   国土交通大臣によるリニア中央新幹線の建設認可の処分取り消しを求める「ストップ・リニア!訴訟」の第二回口頭弁論が東京地方裁判所で開かれる。 
ジャーナリスト樫田氏のブログ「裁判長の鋭い質問に被告はどう答えるか?」 
ストップ・リニア訴訟!のホームページ 
 
12月10日   長野県豊丘村において、リニア建設に伴う大量の残土処分による土砂災害リスクを対象とした学習会が開かれる。 信濃毎日新聞 
12月13日   JR東海は岐阜圏の「日吉トンネル南垣外工区」の安全祈願・起工式を瑞浪市で開く。岐阜県内では初の工事となる。 産経新聞  
12月19日   JR東海は名古屋駅新設工事の起工式を行う。JR東海の所有する区画のみの対象。  
12月22日   JR東海は、山梨県早川町塩島地区に計画している発生土置場に隣接し、新たに土壌汚染対策法に基づく要対策土用の仮置場を計画しているとして、環境調査結果を発表。 JR東海HP  

2017年(平成29年)   

1月17日   JR東海は、静岡県内工区における導水路トンネル、燕沢発生土置場、位置変更後の工事用道路トンネルについての環境影響評価結果を静岡県に報告。静岡県環境影響評価条例に基づき、事後調査報告書の形をとっている。 静岡県庁  
JR東海HP 
1月23日   長野県の阿部守一知事とJR東海柘植康英社長が都内で会談。 中日新聞 
産経新聞 
日本経済新聞  
1月31日   長野県豊丘村の発生土置場候補地について、JR東海が地元向けの説明会を開く。完成後20〜30年はJR東海が管理するとの方針を示す。 南信州新聞 
信濃毎日新聞 
1月31日   JR東海は、岐阜県瑞浪市の日吉トンネル予定地にて、自社による調査により土壌汚染対策法に基づく基準値を超える有害物質が検出されたと発表。  
2月7日   静岡県中央新幹線環境保全連絡会議が開かれ、JR東海の作成した事後調査報告書に基づき、導水路案・発生土置場計画案について審議される。懸念が相次ぐ。 静岡新聞  
同日   岐阜県瑞浪市内で計画されている発生土置場において、清水建設など施工共同企業体(JV)が砂防指定地で許可を得ずに土地を掘削し、長さ50mの道路を造成たとして、是正措置をとるよう文書指導した。発注元のJR東海に対しても、発注先への法令順守の指導徹底を要請した。  
2月8日   静岡市の環境影響評価審査会が開かれ、JR東海の示した導水路案・発生土置場計画案について審議される。山体大規模崩壊を想定したシミュレーションが必要などと、懸念が相次ぐ。  
2月9日   7日に予定されていた説明会が中止されたとして、岐阜県木曽川流域の漁業協同組合で作る、「岐阜県漁業協同組合連合会東濃ブロック会」が公開質問状をJR東海と建設会社に提出。残土よる水質汚染についての懸念があるがこれまで説明がなかったとしている。  
2月13日   静岡県知事に対し、JR東海の示した導水路案・発生土置場計画案についての静岡市長意見が送付される。 静岡市役所  
2月15日   JR東海は、長野県豊丘村内の大規模発生土置場候補地について、環境への影響を予測した結果を公表。これについて長野県から、環境の保全の見地からの意見が募集される。 JR東海 
長野県庁 
2月16日   大鹿村上蔵地区の保安林について、農林水産大臣による解除告知がなされたと、長野県報にて通知井される。解除の理由として中央新幹線の鉄道施設建設のためとしており、トンネル非常口が設けられる計画。  
2月24日  「ストップリニア!訴訟」の第3回口頭弁論が東京地裁で開かれる。  
3月3日   長野県豊丘村に計画されている発生土置場について、用地を所有する本山生産森林組合が設置に同意することを決定。ただし安全性等については行政による確認が必要としている。 毎日新聞  
3月13日   大井川の流量減少問題について、上水道、土地改良区、電力会社など計11の水利用団体はJR東海に対し、流量減少対策の内容を明記した協定を4月末までに下流利水者と締結するよう求めた。 静岡新聞  
   神奈川県川崎市宮前区に計画されている梶ヶ谷非常口(立坑)の起工式が行われる。 建設通信新聞
東京新聞  
産経新聞 
3月31日   大井川流域の10市町がJR東海に対し大井川の流量と水質の現状維持を申し入れ。 静岡新聞  

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