河川法と南アルプストンネル静岡工区
――工事と関係ありそうな条文 

で囲ったのは河川法ピンクで囲ったのは河川法施行令で囲ったのは河川法施行規則 

(目的)

第一条 この法律は、河川について、洪水、津波、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もつて公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする。

(河川管理の原則等)

第二条 河川は、公共用物であつて、その保全、利用その他の管理は、前条の目的が達成されるように適正に行なわれなければならない。
2 河川の流水は、私権の目的となることができない。 



(河川及び河川管理施設)

第三条 
この法律において「河川」とは、一級河川及び二級河川をいい、これらの河川に係る河川管理施設を含むものとする。
2 この法律において「河川管理施設」とは、ダム、、水門、堤防、護岸、床止め、樹林帯(
堤防又はダム貯水池に沿つて設置された国土交通省令で定める帯状の樹林で堤防又はダム貯水池の治水上又は利水上の機能を維持し、又は増進する効用を有するものをいう。)その他河川の流水によつて生ずる公利を増進し、又は公害を除却し、若しくは軽減する効用を有する施設をいう。ただし、河川管理者以外の者が設置した施設については、当該施設を河川管理施設とすることについて河川管理者が権原に基づき当該施設を管理する者の同意を得たものに限る。

●河川法は一級河川および二級河川について適用される。
●南アルプストンネル静岡工区において、トンネルが交差する一級河川は大井川、東俣川、西俣川、奥西河内川である。


河川名  河川法上の関わりのありそうな事項
大井川  ・非常口が河川区域と交差(上図C)
・大幅な流量減少の可能性 
・川に近接する導水路トンネルによる流量減少の可能性
・発生土置き場での土地の改変、擁壁等の設置
・工事・宿舎等で用いるための取水
・作業員宿舎からの排水
・導水路からトンネル湧水を排水
東俣川 ・本坑が河川区域と交差(上図B) 
西俣川  ・本坑が河川区域と交差(上図A/厳密には3ヵ所)
・大幅な流量減少の可能性 
・工事・宿舎等で用いるための取水
・作業員宿舎からの排水
奥西河内川  ・導水路トンネルが河川区域と交差(上図D) 
●各トンネルは、この他にも複数の河川とも交差する。これらはいずれも一級河川には指定されておらず静岡市長が管理している。ここの区間(交差部を含む)にて工事を行う場合には静岡市法定外公共物管理条例に基づき、静岡市長から工事の許可を得る必要があるかもしれない。

●第2項についての疑問
 南アルプストンネルには、トンネル湧水を川に流す「導水路トンネル」が設置される計画である。またトンネル内には湧水をくみ上げるためのポンプを設置するという。JR東海は、その設置目的をトンネル工事に伴って発生するかもしれない流量減少に対応するためだと説明しているが、これは「公害を除却」する施設に該当するのではないか。
 なお、環境基本法では「公害」を次のように定義している。
環境基本法 第二条 
3 この法律において「公害」とは、環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。第21条第1項第1号において同じ。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。以下同じ。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
 環境基本法では、人の活動に伴って水質以外の水の状態が悪化することを「水質の汚濁」に含め、それによって生活環境などに被害が生じることを「公害」と定義している。素直に解釈すれば、流量が減少して環境に悪影響が生じる事態ば、環境基本法でいう公害に該当しそうである。
 流量減少が河川法でいう「公害」に該当するのであれば、その対策施設である導水路やポンプは、河川管理施設の要件を満たしそうである。法的に扱われるかどうかはJR東海と県との協議次第であるが、該当する場合には、以下の規定
◇第十四条(河川管理施設の操作規則)
◇第十七条(兼用工作物の工事等の協議)
◇第二十条(河川管理者以外の者の施行する工事等)
◇第三十条(許可工作物の使用制限)
が関わってくると思われる。 




(河川区域)

第六条
 
この法律において「河川区域」とは、次の各号に掲げる区域をいう。
一 河川の流水が継続して存する土地及び地形、草木の生茂の状況その他その状況が河川の流水が継続して存する土地に類する状況を呈している土地(河岸の土地を含み、洪水その他異常な天然現象により一時的に当該状況を呈している土地を除く。)の区域
二 河川管理施設の敷地である土地の区域
三 堤外の土地(政令で定めるこれに類する土地及び政令で定める遊水地を含む。第三項において同じ。)の区域のうち、第一号に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるものとして河川管理者が指定した区域

(第2項以下 省略)
河川を流れる水の量には変化があるので、いつもその上を流れているというわけではありませんが、しばしば水におおわれる土地があります。このような土地は、地形や、生育する植物の種類等が普通の土地と異なるので、外見上普通の土地と区別することができます。例えば、いわゆる河原で、砂利や石が露出していたり、水草がついていたり、葦や萱(かや)が生えている土地です。
 これらの土地は、イ(ブログ作者注:河川の流水が継続して存する土地に類する土地として、法律上当然の河川区域とされています。
 なお、これらの河川区域には、川岸の土地は含まれますが、洪水その他以上な天然現象により一時的に河川状を呈している土地は除かれます。
 川岸の土地とは、河川状を呈している土地と普通の土地との間にあって、両者の中間的な状況を呈している土地であり、一般には水流に向かって下りの斜面となっているか、崖となっているような土地です。
 

――河川法令研究会編(2018) 「よく分かる河川法」より――

●JR東海は、大井川に沿った燕沢平坦地に、静岡工区で生じる発生土約360万立方メートル全てを集約する方針である。官有地を避けて盛土を行う計画としているが、2019年10月の台風19号による増水により、この平坦地の大部分は民有地/官有地関係なく水に浸かり、民有地部分が新たな川となった。過去70年間にも流路変更が起きていることから、燕沢平坦地は全体として広い河原をなしていると思われる。
 ここは法でいう「河川区域」に該当するのではあるまいか。該当する場合には、河川法第二十七条に基づき盛土を行う許可を、また擁壁等を併設するのなら第二十六条に基づき工作物の設置許可を得る必要があると思われる。



 
(一級河川の管理)

第九条
 
一級河川の管理は、国土交通大臣が行なう。
2 国土交通大臣が指定する区間(以下「指定区間」という。)内の一級河川に係る国土交通大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、当該一級河川の部分の存する都道府県を統轄する都道府県知事が行うこととすることができる。
3 国土交通大臣は、指定区間を指定しようとするときは、あらかじめ、関係都道府県知事の意見をきかなければならない。これを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。
4 国土交通大臣は、指定区間を指定するときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。
(以下 省略)
●この規定により、リニア工事予定地付近の一級河川は指定区域とされ、管理は静岡県知事が行っている。
●「政令で定めるところにより…」とあるのは河川法施行令第二条のこと。
(都道府県知事又は指定都市の長による指定区間内の一級河川の管理)

施行令 第二条 法第九条第二項の規定により、指定区間内の一級河川について、都道府県知事が行うこととされる管理は、次に掲げるもの以外のものとする。
一 法第十二条第一項の規定により河川の台帳を調製し、これを保管すること。
二 河川整備基本方針を定め、又は変更すること。
三 水利使用で次に掲げるもの(以下「特定水利使用」という。)に関し、法第二十三条、第二十三条の二、第二十四条、第二十六条第一項、第三十四条第一項及び第五十三条の二の規定による権限を行うこと。
イ 出力が最大千キロワット以上の発電のためにするもの。ただし、法第二十三条の二の登録の対象となる流水の占用に係るものを除く。
ロ 取水量が一日につき最大二千五百立方メートル以上又は給水人口が一万人以上の水道のためにするもの
ハ 取水量が一日につき最大二千五百立方メートル以上の鉱工業用水道のためにするもの
ニ 取水量が一秒につき最大一立方メートル以上又はかんがい面積が三百ヘクタール以上のかんがいのためにするもの
ホ 法第二十三条の二の登録の対象となる流水の占用に係るものであつてイからニまでに掲げる水利使用のために貯留し、又は取水した流水を利用する発電のためにするもの
四 (特定水利使用にかかわる規定であるため省略)
五 (特定水利使用にかかわる規定であるため省略)
六、七 (省略)
●施行令第二条の規定により、一定規模以上の水利使用(特定使用水利)に関わる事項以外の許認可は、基本的に都道府県知事が行うこととされている。つまりリニアの建設工事で必要となる許認可は静岡県知事が行う。

●「国土交通省令で定めるところ…」とあるのは施行規則第二条の二、第三条のこと
(指定区間の指定の基準) 

施行規則第二条の二 法第九条第二項の規定による国土交通大臣の指定区間の指定は、次の各号(第一条の二第八号に該当する水系に属する一級河川にあつては、第一号及び第二号を除く。)のいずれにも該当しない区間について行うものとする。
一 河川の形状及び流水の状況並びに流域の地形及び土地利用の状況等から、一体として管理する必要がある区間であつて、次のいずれかに該当するもの
イ 河川のはん濫により当該河川の流域における市街地等に甚大な被害が発生するおそれのある区間
ロ 水系に属する河川の流量、水質等に著しい影響を与えるおそれのある貯留、取水等が行われる区間
ハ 水系における貴重な自然環境、優れた景観等その整備又は保全を行うことが特に必要と認められる河川環境が存する区間
ニ 二以上の都府県の区域にわたる水系に属する河川の区間であつて、関係都府県にわたる治水上、利水上又は河川環境の整備若しくは保全上の利害を調整する必要があると認められるもの
二 前号の区間における河川の管理に必要なダムその他の河川管理施設(当該区間に存するものを除く。)が存する区間及び当該区間と一体として管理を行う必要がある区間
三 洪水等の激甚な災害が発生した水系に属する河川の区間又は渇水が頻繁に発生し、若しくは河川環境の整備若しくは保全を図る上で重要な問題等が生じている水系に属する河川の区間であつて、河川管理に高度の技術を要すること、地方公共団体の負担の軽減を図る必要があること等の理由により国土交通大臣が対策を講じる必要があると認められるもの
四 前各号の区間の二以上と直接に接続する区間又は前各号の区間のいずれかから河口までの間の区間であつて、前各号の区間と一体として管理することが必要と認められるもの

(指定区間の指定等の公示)
第三条 法第九条第四項の公示は、第一条の三各号の一以上により当該指定区間の起点及び終点を明示して、官報に掲載して行うものとする。



(河川管理施設等の構造の基準)

第十三条 河川管理施設又は第二十六条第一項の許可を受けて設置される工作物(以下「許可工作物」という。)は、水位、流量、地形、地質その他の河川の状況及び自重、水圧その他の予想される荷重を考慮した安全な構造のものでなければならない。
2 河川管理施設又は許可工作物のうち、ダム、堤防その他の主要なものの構造について河川管理上必要とされる技術的基準は、政令で定める。



(他の河川管理者に対する協議)

第十五条
 
河川管理者は、前条第一項の河川管理施設の操作規則を定め、若しくは変更しようとする場合又は河川工事を施行し、若しくは第二十三条若しくは第二十四条から第二十九条までの規定による処分(
当該処分に係る第七十五条の規定による処分を含む。)をしようとする場合において、当該操作規則に基づく操作又は当該河川工事若しくは当該処分に係る工事その他の行為が他の河川管理者の管理する河川に著しい影響を及ぼすおそれがあると認められるときは、あらかじめ、当該他の河川管理者に協議しなければならない。

●トンネル工事に伴い、大井川の流量が減る可能性がある。すると、大井川の田代ダムから富士川水系(内河内川・早川)への送水量変更を変更する必要が生じるかもしれない。その際、大井川水系の管理者と、富士川水系の管理者との協議が必要となるのではないか。取水量の変更であることから第九条との関係上、国土交通省内の協議で済まされるのかもしれない。



(工事原因者の工事の施行等)

第十八条 河川管理者は、河川工事以外の工事(
以下「他の工事」という。)又は河川を損傷し、若しくは汚損した行為若しくは河川の現状を変更する必要を生じさせた行為(以下「他の行為」という。)によつて必要を生じた河川工事又は河川の維持を当該他の工事の施行者又は当該他の行為の行為者に行わせることができる。 

●万が一、リニア関係の工事により河川において予期せぬ事態がおきたとき、静岡県はJR東海に復旧工事あるいは対策工事を行わせることができることになる。



(流水の占用の許可)
第二十三条
 
河川の流水を占用しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。ただし、次条に規定する発電のために河川の流水を占用しようとする場合は、この限りでない。
 

流水の占用とは、ある特定目的のために、その目的を達成するのに必要な限度において、公共用物たる河川の流水を排他的、継続的に使用することと定義される。
◇東京都三田用水慣行水利権等確認請求事件判決;東京地裁昭和36年10月24日、最高裁昭和44年12月18日
◇長野県高瀬川等水利許可処分等取消請求事件判決:最高裁昭和37年4月10日

 …流水占用の許可は、公水たる河川の流水を許可された範囲内で私的に使用する権利(流水に対する一面的な権利)を付与するものであって、流水を所有する権利(流水に対する全面的な支配権)を付与するものではないことに留意する必要がある。
 …許可の対象となる「河川の流水」の範囲は、河川法上の河川を構成する水である。基本的には表流水をいうが、これと一体をなしている水、すなわち表流水と一体となった伏流水も、その占用によって河川の流況に影響を及ぼすものであるから、河川の流水としての管理の対象となる。従って、地下水であっても、明らかに伏流水でないと認められる水以外は河川の流水として考えるべきであろう。
 …さらに、河川の敷地内の積雪、河川の敷地内に湧出した温泉、河川の敷地内の深層の被圧水なども、河川法に言う河川の流水と考えるべき であり、これらの採取についても、一般使用に当たるものを除き、河川管理者の許可を要することとなる。
 
 ――河川法研究会編(2006)「逐条解説 河川法解説」より――
⇒河川区域の地下で発生するトンネル湧水は、法的には河川水という扱いになるものと思われる。

●第一条で定められているように、河川の流水は私権の目的になることができない。このため、通常行なわれる取水では、法第二十三条に基づき「流水の占用」の許可を得なければならない。
●JR東海の試算によると、西俣から大井川にかけて最大毎秒2トン程度の流量減少が予測されている。仮に毎秒2トンの取水を行うのであれば、「特定水利」とされ国土交通大臣の許可を受けねばならない。
●しかし、平成26年3月13日参議院国土交通委員会において、トンネル湧水による河川流量の減少は「流水の占用」には当たらないという答弁がなされている。したがって工事により大井川の流量を減少させる行為は、第二十三条の適用外である。
●なお「流水の占用」が申請された場合には
第三十八条 (水利使用の申請があつた場合の通知)
第三十九条 (関係河川使用者の意見の申出)
第四十条 (申出をした関係河川使用者がある場合の水利使用の許可の要件)
第四十一条 (水利使用の許可等に係る損失の補償)
第四十二条 (損失の補償の協議等)
第四十三条 (流水の貯留又は取水の制限) 
行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の運用について 
行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の審査基準の策定等について
に従って関係河川使用者間での協議・調整が進められる。しかしトンネル工事において、同様の法的手続きを事業者に求めることが可能かどうか不明である。

●なお作業員宿舎や工事に用いる水を河川から採取することは「流水の占用」に該当する。特定水利でなければ許可を行うのは静岡県知事となる。



(土地の占用の許可)

第二十四条
 
河川区域内の土地
(河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地を除く。以下次条において同じ。)
を占用しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない  

吊り橋、電線等土地に固着せず、上空だけを使用する場合も占用に該当する。地中だけの場合も同様である。地上、地下いかなる範囲に及ぶかは、一律には定めがたいが、河川管理上支障があるかどうかにより決定すべきである。  
 ――河川法研究会編(2006)「逐条解説 河川法解説」より――
⇒事業者のJR東海は、環境影響評価書において、トンネルの設置が流量減少を引き起こすおそれを表明している。流量が減少すれば河川管理に支障をきたすことから、トンネルの設置は地下深くと言えども「土地の占用」に該当するとみられる。

河川敷地占用許可準則において、河底を通過するトンネルや地下工作物は占用施設に該当しうるとされている。
●同準則において、土地の占用についての審査基準が定められている。これによると、占用により利水や自然・社会環境に悪影響を及ぼすおそれのある場合は許可をしてはならないとされている。
●発生土置場は民有地内に収める計画であることから、土地の占用の許可は不要とみられる。
●第二十四条にいう国土交通省令とは下に掲げる施行規則第12条のこと。   
(土地の占用の許可の申請)

施行規則第十二条 法第二十四条の許可(水利使用又は法第二十六条第一項の許可を受けることを要する工作物の新築若しくは改築に関するものを除く。)の申請は、別記様式第八の(甲)及び(乙の2)による申請書の正本一部及び別表第二に掲げる部数の写しを提出して行うものとする。
2 前項の申請書には、次の各号に掲げる図書を添付しなければならない。
一 土地の占用に係る事業の計画の概要を記載した図書
二 縮尺五万分の一の位置図
三 実測平面図
四 面積計算書及び丈量図
五 土地の占用に係る行為又は事業に関し、他の行政庁の許可、認可その他の処分を受けることを必要とするときは、その処分を受けていることを示す書面又は受ける見込みに関する書面
六 その他参考となるべき事項を記載した図書 



(土石等の採取の許可)

第二十五条 
河川区域内の土地において土石(砂を含む。以下同じ。)を採取しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。河川区域内の土地において土石以外の河川の産出物で政令で指定したものを採取しようとする者も、同様とする。
 

●基本的には砂利採取を念頭においた規定である。しかし、発生土置き場の整地や流路変更において河床堆積物を移動させる行為が該当するかもしれない。
●トンネル工事で、河川区域地下の岩を砕いて外に運び出す行為が、第二十五条でいう「土石等の採取」に該当するかどうかは不明。



(工作物の新築等の許可)

第二十六条 
河川区域内の土地において工作物を新築し、改築し、又は除却しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。河川の河口附近の海面において河川の流水を貯留し、又は停滞させるための工作物を新築し、改築し、又は除却しようとする者も、同様とする。
 
(第2項以下 省略) 

●本条の許可は、一般的な禁止を解除するものであり、申請者に権利を設定するものではない。
●「土地の占用の許可」と異なり、本条の制限を受ける土地は、河川区域内のすべての土地である。 つまり、河川管理者が権原に基づき管理している土地であるか否かにかかわらない。また、電線のように上空に設けられるものやトンネルのような地下工作物も該当する。
 …工作物が河川区域外の土地にまたがる場合には、区域外の部分は、観念的には許可の対象外であるが、許可に関する処分に必要な範囲内において、当然審査の対象となる。その部分の構造等が不備であれば、是正を求めることもできるし、不許可の理由とすることもできる。
 ――河川法研究会編(2006)「逐条解説 河川法解説」より――

 ⇒河川区域と交差する部分でのトンネルの設置は「工作物の新築」に該当するし、トンネルのその他の部分についても、審査対象に該当すると考えられる。

●JR東海は、発生土置き場の川に面した部分には擁壁等を設けるとしている。そのため、発生土置場予定地が「河川区域」に該当するのであれば、静岡県知事より工作物設置の許可を得なければならない。
●国土交通省令とは施行規則第15条のこと(下記参照)。  
(工作物の新築等の許可の申請)

施行規則第十五条
 
工作物の新築等に関する法第二十四条又は第二十六条第一項の許可(
水利使用に関するもの又は法第二十六条第一項の許可を受けることを要しない工作物の新築若しくは改築に関する法第二十四条の許可を除く。)の申請は、別記様式第八の(甲)及び(乙の4)による申請書の正本一部及び別表第二に掲げる部数の写しを提出して行うものとする。
 2 前項の申請書には、次の各号に掲げる図書を添付しなければならない。
  一 新築等に係る事業の計画の概要を記載した図書
  二 縮尺五万分の一の位置図
  三 工作物の新築又は改築に係る土地の実測平面図
  四 工作物の設計図(工作物の除却にあつては、構造図)
  五 工事の実施方法を記載した図書
  六 占用する土地の面積計算書及び丈量図
  七 河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地において新築等を行う場合又は河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する工作物について改築若しくは除却を行う場合にあつては、当該新築等を行うことについて申請者が権原を有すること又は権原を取得する見込みが十分であることを示す書面
  八 新築等に係る行為又は事業に関し、他の行政庁の許可、認可その他の処分を受けることを必要とするときは、その処分を受けていることを示す書面又は受ける見込みに関する書面
  九 その他参考となるべき事項を記載した図書

●河川敷への工作物設置について、許可の基準が定められている。
工作物設置許可基準
平成6年9月22日建設省河治発第72号
最終改正平成14年7月12日国河治第71号

該当しそうな部分を抜粋 
第1章 総則

(趣旨)
第1 この基準は、河川区域における河川法第26条第1項に基づく工作物の新築、改築又は除却(以下「工作物の設置等」という。)の許可に際して、工作物の設置等について河川管理上必要とされる一般的技術基準を定めるものとする。

(適用範囲)
第2 この基準は、法第6条第1項に規定する河川区域のうち遊水地、故障(ダム湖を含む。)、高規格堤防特別区域及び樹林帯区域を除いた区域における久尾作物の設置等に適用する。

第18章 河底横過トンネル

(設置の基準)
第36
一 共通事項
 @河底横過トンネルの平面形状は直線とし、設置の方向は洪水時の流水の方向に対して直角を基本とするものとすること。
 A 設置深さは、河床低下や洗掘に対して十分安全な深さとするものとすること。
 B 河川水がトンネルを介して堤内へ流出すおそれがあるものについては両岸の堤内地側に制水ゲートを設置するものとすること。

(設置に係るその他の留意事項)
第37
 @ 圧力管については、管の損傷による河川管理上の支障が生じないよう必要な対策を講じておくものとすること。

第19章 地下工作物
(適用範囲)
第38 この章の規定は、公共駐車場、下水処理場、変電所等の地下工作物について適用するものとする。

(設置位置の選定基準)
第39
一 設置が不適当な箇所
 @ 狭窄部、水衝部、支派川の分合流部
 A 河床の変動が大きい箇所
 B 河川に設けられている他の工作物(堰、橋等)に近接した箇所
 C 基礎地盤が軟弱な箇所
 D 基礎地盤に漏水履歴のある箇所
 E 堤防下及び堤防に近接した箇所
 F 低水路河岸に近接した箇所

二 設置にあたって対策が必要な箇所
 @ 堤防付近の高水敷部

(設置の基準)
第40
一 共通事項
 @ 河川の地下空間の利用計画の制約とならないものとすること。
 A 長区間にわたって縦断的に設置しないことを基本とするものとすること。
 B 地下水に影響を及ぼさないよう必要な対策を講ずるものとすること。
 C 設置深さは、河床低下や洗掘に対して十分安全な深さとするものとすること。
 D 地表への出入り口等の設置によって、著しい流水の乱れや堤防への悪影響等が生じないような必要な対策を講ずるものとすること。
二 対策が必要な箇所における設置基準
 @ 堤防に悪影響が生じないよう適切に配慮された施工方法を採用するものとすること。

(設置に係るその他の留意事項)
第41
 @ 工作物内部における火災等により河川管理上の支障が生じないよう必要な対策を講ずるものとすること。
 

●許可の基準や処理については
行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の運用について 
行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の審査基準の策定等について
を参照のこと。



(土地の掘削等の許可)

第二十七条 
河川区域内の土地において土地の掘削、盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為
(前条第一項の許可に係る行為のためにするものを除く。)又は竹木の栽植若しくは伐採をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽易な行為については、この限りでない。 
(2〜6 リニア関連工事とは無関係と思われるため省略)

本条の制限を受ける土地は、河川区域内のすべての土地である。 つまり、河川管理者が権原に基づき管理している土地であるか否かにかかわらない。
●そのため発生土置き場が「河川区域」に該当するのであれば、官有地を避けていたとしても、第二十七条に基づき、静岡県知事より盛土を行う許可を得なければならない。
●樹木の伐採を伴うのであれば、その許可も必要となる。
●発生土置き場に樹木を栽植する場合にも、位置によっては、許可が必要になるかもしれない。
●トンネルの設置が第二十四条「土地の占用」に当たるのであれば、トンネルの掘削行為も「土地の掘削」に該当し、第二十七条での許可が必要となるかもしれない(詳細不明)。
●条文中の「国土交通省令」とは施行規則第十六条のこと(下記参照)。
(土地の掘さく等の許可の申請)

施行規則第十六条 法第二十七条第一項の許可(水利使用又は河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地以外の土地における河川の産出物の採取に関するものを除く。)の申請は、別記様式第八の(甲)及び(乙の5)による申請書の正本一部及び別表第二に掲げる部数の写しを提出して行なうものとする。
2 前項の申請書には、次の各号に掲げる図書を添付しなければならない。
 一 土地の掘さく等に係る事業の計画の概要を記載した図書
 二 縮尺五万分の一の位置図
 三 土地の掘さく等に係る土地の実測平面図
 四 土地の形状を変更する行為にあつては、当該行為に係る土地の実測縦断面図及び実測横断面図に当該行為に係る計画地盤面を記載したもの
 五 土地の掘さく等が他の事業に及ぼす影響及びその対策の概要を記載した図書
 六 河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地において土地の掘さく等を行なう場合にあつては、当該土地の掘さく等を行なうことについて申請者が権原を有すること又は権原を取得する見込みが十分であることを示す書面
 七 土地の掘さく等に係る行為又は事業に関し、他の行政庁の許可、認可その他の処分を受けることを必要とするときは、その処分を受けていることを示す書面又は受ける見込みに関する書面
 八 その他参考となるべき事項を記載した図書

●許可の基準や処理については
行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の運用について 
行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の審査基準の策定等について
を参照のこと。


 
(河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の禁止、制限又は許可)

第二十九条 第二十三条から前条までに規定するものを除くほか、河川の流水の方向、清潔、流量、幅員又は深浅等について、河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為については、政令で、これを禁止し、若しくは制限し、又は河川管理者の許可を受けさせることができる。
2 (省略)

●「政令」は河川法施行令のこと。具体的には第十六条の四、第十六条の五、第十六条の八が関係してくると思われる。

(河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の禁止)

施行令 第十六条の四
 
何人も、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
 一 河川を損傷すること。
 二 河川区域内の土地(高規格堤防特別区域内の土地を除く。次号及び第十六条の八第一項各号において同じ。)に次に掲げるものを捨て、又は放置すること。ただし、河川区域内において農業、林業又は漁業を営むために通常行われる行為は、この限りでない。
  イ 船舶その他の河川管理者が指定したもの
  ロ 土石(砂を含む。以下同じ。)
  ハ イ又はロに掲げるもののほか、ごみ、ふん尿、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物
 三 次に掲げる区域に自動車その他の河川管理者が指定したものを入れること。
  イ 河川管理施設を保全するため必要があると認めて河川管理者が指定した河川区域内の土地の区域
  ロ 動植物の生息地又は生育地として特に保全する必要があると認めて河川管理者が指定した河川区域内の土地の区域
2 第十五条第二項の規定は、前項第二号イ及び第三号の規定による指定について準用する。
●河川区域において以上の行為を行うことは禁止されている。
●平成26年3月13日参議院国土交通委員会での政府答弁によると、「みだりに」という言葉は「正当な権原等に基づかないということを意味」しているという。「正当な権原等」に基づかずトンネル工事を実行すれば「河川の損傷」に当たる可能性があるのだろう。

(汚水の排出の届出)

施行令 第十六条の五
 
河川に一日につき五十立方メートル(
河川の流量、利用状況等により河川管理者がこれと異なる量を指定したときは、当該量)以上の汚水( 生活又は事業(耕作又は養魚の事業を除く。)に起因し、又は附随する廃水をいう。以下同じ。)を排出しようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を河川管理者に届け出なければならない。ただし、当該事業、汚水を排出する施設の設置等又は汚水の排出について、別表上欄に掲げる認可等の処分を受け、又は同欄に掲げる届出をしているときは、この限りでない。
 一 氏名又は名称及び住所
 二 汚水を排出しようとする河川の種類及び名称
 三 汚水を排出しようとする場所
 四 汚水の排出の方法及び期間
 五 排出しようとする汚水の量
 六 排出しようとする汚水の水質
 七 排出しようとする汚水の処理の方法
2 前項本文の規定による届出をした者は、その届出に係る同項第一号に掲げる事項に変更があつたとき、若しくはその届出に係る同項第三号から第七号までに掲げる事項を変更したとき、又は汚水の排出を廃止したときは、遅滞なく、その旨を河川管理者に届け出なければならない。前項ただし書の規定は、この場合について準用する。
3 第一項ただし書に規定する事項について、別表上欄に掲げる認可等の処分をし、若しくは同欄に掲げる届出を受理し、又は同表下欄に掲げる命令等の処分(汚水の排出に係るものに限る。)をした行政庁は、遅滞なく、その旨を河川管理者に通報するものとする。
4 第十五条第二項の規定は、第一項の規定による指定について準用する。

●「汚水」とは、生活又は事業に起因し、又は付随する廃水のことをいう。ただし、工作又は養魚の事業に起因する廃水は、除外されている。なお、水力発電のために使用された水及び冷房用水は、汚水に該当しないこととされており、また、行動の掘さく等により自然に流出してくる「坑水」は、これを利用した上で廃棄する場合を除き、汚水に該当しないものであるとされている(水政課長通達記第四三、四)」 
――河川法研究会編(2006)「逐条解説 河川法解説」より――

 トンネル湧水がここでいう「坑水」に該当するかどうか未確認である。
●なお、下水道法第二条には次の規定がある、
下水道法第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 下水 生活若しくは事業(耕作の事業を除く。)に起因し、若しくは付随する廃水(以下「汚水」という。)又は雨水をいう。
二 下水道 下水を排除するために設けられる排水管、排水渠きよその他の排水施設(かんがい排水施設を除く。)、これに接続して下水を処理するために設けられる処理施設(屎し尿浄化槽を除く。)又はこれらの施設を補完するために設けられるポンプ施設、貯留施設その他の施設の総体をいう。
逐条解説 下水道法」によると、ここでいう「雨水」とは湧水、融雪水を含む自然水全般をさすという。トンネル湧水は下水道法における「雨水」に該当するのであろうか。また、その排水目的で設置される導水路は「下水道」に該当するのではないか。

●一定量以上の汚水を河川に放流する際に必要となる手続きを定めている。環境影響評価書8-2-1-27ページによると、3ヵ所計画している宿舎のうち、西俣と二軒小屋南の2地点では、1日の排水が133.2立方メートルになる。このため、第十六条の五の適用を受けると思われる。
●「国土交通省令で定めるところ」とあるのは、施行規則第十八条の八、第十八条の九の規定である 

(河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の許可)

施行令 第十六条の八
 次の各号の一に掲げる行為をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。ただし、日常生活のために必要な行為、農業若しくは漁業を営むために通常行なわれる行為又は営業等のためにやむを得ないものとして河川管理者が指定した行為については、この限りでない。
 一 河川区域内の土地において土、汚物、染料その他の河川の流水を汚濁するおそれのあるものが付着した物件を洗浄すること。
 二 河川区域内の土地において土石、竹木その他の物件を堆積し、又は設置すること。
2 (省略)

●「国土交通省令で定めるところ」とは施行規則第十八条の十一、第十八条の十二の規定である。 
(河川の流水等について河川管理上支障を及ぼすおそれのある行為の許可の申請)

施行規則 第十八条の十一
 
令第十六条の八第一項の許可の申請は、同項第一号に該当する行為については別記様式第八の(甲)及び(乙の7)、同項第二号に該当する行為については別記様式第八の(甲)及び(乙の8)による申請書の正本一部及び別表第二に掲げる部数の写しを提出して行なうものとする。
2 前項の申請書には、次の各号に掲げる図書を添付しなければならない。
一 物件の洗浄又は堆積等に係る事業の計画の概要を記載した図書
二 縮尺五万分の一の位置図
三 物件を堆積し、又は設置する行為にあつては、当該行為に係る土地の実測平面図
四 河川管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地において物件を堆積し、又は設置する場合にあつては、当該物件の堆積又は設置を行なうことについて申請者が権原を有すること又は権原を取得する見込みが十分であることを示す書面
五 物件の洗浄又は堆積等が他の事業に及ぼす影響及びその対策の概要を記載した図書
六 その他参考となるべき事項を記載した図書

(許可を要しない物件の洗浄又は堆積等の公示)
第十八条の十二 第十四条の規定は、令第十六条の八第一項の行為の指定の公示について準用する。

●許可の基準や処理については
行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の運用について 
行政手続法の施行に伴う河川法等における処分の審査基準の策定等について
を参照のこと。



(原状回復命令等)

第三十一条 第二十六条第一項の許可を受けて工作物を設置している者は、当該工作物の用途を廃止したときは、速やかに、その旨を河川管理者に届け出なければならない。
2 河川管理者は、前項の届出があつた場合において、河川管理上必要があると認めるときは、当該許可に係る工作物を除却し、河川を原状に回復し、その他河川管理上必要な措置をとることを命ずることができる。

 「用途の廃止」とは、工作物をその本来の用法に従って使用することをやめることである。その原因は問わないから、所期の目的を達して廃止する場合、情勢の変化等により途中で自主的に廃止する場合、監督処分等の結果廃止せざるを得なくなった場合等のいずれの場合も該当する。
 …「必要な措置」の例示が工作物の除却及び河川の現状回復であり、最も効果的な対策である。また、「原状」は、工作物を設置する前の状態である。その他の必要な措置としては、工作物を残置させることを前提とした損壊防止のための改築命令、定期的な補修命令等がある。
 
――河川法研究会編(2006)「逐条解説 河川法解説」より――

●トンネルを着工しても途中で放棄される場合、あるいは将来、南アルプストンネルの使用が中止された際には、第三十一条に基づき、廃止届を出さなければならない。
●通常の許可工作物の場合、廃止後は原状回復が原則とされる。ただしトンネルの場合、撤去することは原理的に不可能であるため、「必要な措置」として流量・水質の維持管理等が求められるものと考えられる。



(流水占用料等の徴収等)

第三十二条 都道府県知事は、当該都道府県の区域内に存する河川について第二十三条、第二十四条若しくは第二十五条の許可又は第二十三条の二の登録を受けた者から、流水占用料、土地占用料又は土石採取料その他の河川産出物採取料
(以下「流水占用料等」という。)を徴収することができる。

●仮に毎秒2トンの取水であれば、河川管理者は流水占用料を徴収することが可能である。しかしトンネル湧水の場合はこれに該当しない。無料で水を減らすことを許可すれば金銭的な損失につながるのかもしれない。



(渇水時における水利使用の調整)

第五十三条 異常な渇水により、許可に係る水利使用が困難となり、又は困難となるおそれがある場合においては、水利使用の許可を受けた者は、相互にその水利使用の調整について必要な協議を行うように努めなければならない。この場合において、河川管理者は、当該協議が円滑に行われるようにするため、水利使用の調整に関して必要な情報の提供に努めなければならない。
2 前項の協議を行うに当たつては、水利使用者は、相互に他の水利使用を尊重しなければならない。
3 河川管理者は、第一項の協議が成立しない場合において、水利使用者から申請があつたとき、又は緊急に水利使用の調整を行わなければ公共の利益に重大な支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、水利使用の調整に関して必要なあつせん又は調停を行うことができる。

(渇水時における水利使用の特例)

第五十三条の二 水利使用者は、河川管理者の承認を受けて、異常な渇水により許可に係る水利使用が困難となつた他の水利使用者に対して、当該異常な渇水が解消するまでの間に限り、自己が受けた第二十三条及び第二十四条の許可に基づく水利使用の全部又は一部を行わせることができる。
2 前項の承認に係る水利使用を行わないこととなつた場合においては、当該承認を受けた者は、遅滞なく、河川管理者にその旨を届け出なければならない。
3 河川管理者は、前項の規定による届出があつた場合又は第一項に規定する他の水利使用者の許可に係る水利使用が困難でなくなつた場合においては、同項の承認を取り消さなければならない。

●トンネルは流量を減らす施設ではあるものの取水施設ではなく、そのうえ湧水の量を調整することは不可能。通常の利水者が節水を行う傍らで流量を減らし続けることとなる。流量減少を調整できない施設の設置を許可できるのであろうか。



(国土交通大臣の認可等)

第七十九条 都道府県知事は、第九条第二項の規定により行うものとされた一級河川の管理で政令で定めるものを行おうとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
2 (二級河川に関わる規定であるため省略)
第七十九条による国土交通大臣の認可等は、河川行政を主管する大臣としての監督の見地から行うものであり、認可等を受けずに行った都道府県知事の処分であっても公定力を融資、忠地に効力を失うものではないと考えられます。 
――河川法令研究会編(2018) 「よく分かる河川法」より――

●ここでいう「政令で定めるもの」は施行令第四十五条で定められている。次表参照。

(国土交通大臣の認可)

施行令 第四十五条 法第七十九条第一項の一級河川の管理で政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 河川整備計画を定め、又は変更すること。
二 次に掲げる施設に係る改良工事
イ ダム
(基礎地盤から堤頂までの高さが十五メートル未満のものを除く。)
ロ 地下に設ける河川管理施設で国土交通省令で定めるもの
三 前号ロに掲げる施設に係る改良工事につき、法第十六条の三第一項の規定による協議に応じること。
四 特定水利使用以外の水利使用で第二十条の二各号に掲げるものに関する法第二十三条の許可、法第二十四条若しくは第二十六条第一項の許可(法第二十三条の二の登録の対象となる流水の占用に係る水利使用に関する許可を除く。)若しくは法第三十四条第一項に規定する許可(法第二十三条の二の登録の対象となる流水の占用に係る水利使用に関する法第二十四条の許可を除く。)に係る同項の承認又はこれらの許可若しくは承認に係る法第七十五条の規定による処分
五 ダム、水門、閘こう門、橋その他の工作物で治水上又は利水上影響が著しいと認められるものに係る法第二十六条第一項の許可(水利使用に関するものを除く。)及び当該許可に係る法第七十五条の規定による処分
六 河川区域内の土地の現状に著しい影響を及ぼすおそれがあると認められる土地の掘削等に係る法第二十七条第一項の許可

   を付したものはトンネル工事または発生土置き場設置に関わると思われる。
●第二号ロでいう「地下に設ける河川管理施設で国土交通省令で定めるもの」とは水圧管路である(施行規則第三十五条の二)。




(許可等の条件)

第九十条 河川管理者は、この法律又はこの法律に基づく政令若しくは都道府県の条例の規定による許可、登録又は承認には、必要な条件を付することができる。
2 前項の条件は、適正な河川の管理を確保するため必要な最小限度のものに限り、かつ、許可、登録又は承認を受けた者に対し、不当な義務を課することとなるものであつてはならない。



(河川の使用等に関する国の特例)

第九十五条 国が行う事業についての第二十条、第二十三条、第二十三条の二、第二十四条から第二十七条まで、第三十条第二項、第三十四条第一項、第四十七条第一項、第五十三条の二第一項、第五十五条第一項、第五十七条第一項、第五十八条の四第一項及び第五十八条の六第一項の規定の適用については、国と河川管理者との協議が成立することをもつて、これらの規定による許可、登録又は承認があつたものとみなす。

●中央新幹線整備事業の事業主体はJR東海である。このため整備新幹線と異なり、この規定は適用されない。




第百二条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第二十三条又は第二十三条の二の規定に違反して、河川の流水を占用した者
二 第二十六条第一項の規定に違反して、工作物の新築、改築又は除却をした者
三 第二十七条第一項の規定に違反して、土地の掘削、盛土若しくは切土その他土地の形状を変更する行為をし、又は竹木の栽植若しくは伐採をした者

●河川管理者つまり静岡県知事の許可を得ることなく河川と交差するトンネルの施工を行えば、第百二条第1項第二号違反となり、罰則対象となる。




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