大井川の流量減少はいつから予想していたのか? |
JR東海が考案した導水路計画では、流量を保全できる確証がありません。また導水路出口より上流の広範囲に対応することはできません。 |
中央新幹線の事業主体・建設主体、ルート、走行方式などを審議していたのは、国土交通大臣から諮問に基づいて設置された中央新幹線小委員会です。平成22年12月25日の中間取りまとめ案で、はじめて南アルプスルートが妥当であるとの見解が示されました。 |
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そして平成25年9月の環境影響評価準備書において、トンネルを掘った場合に大井川の流量が2㎥/s減るとの試算結果が出されました。 |
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この結果を受けた流域自治体や利水関係者の間には衝撃が走り、流量保全を求める声が高まりました。しかし結局、環境影響評価手続き内では、具体的な対応方法を示さぬままでした。くだんの導水路案がJR東海から提示されたのは、事業認可後の平成27年4月のことです。 |
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注目すべきは、流量観測を開始した時期です。国土交通大臣が建設指示を出したのは平成23年で、アセスはその後に始まります。ところがJR東海は、それより5年前の平成18年から流量調査を開始していたのです。 |
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特に2006年に調査をしていた点だけを地図上に示すと、見事に導水路ルートと一致します。下に拡大して掲載します。 |
繰り返しますが、答申での南アルプスルート案は幅25qの帯で示されていました。その中には奥西河内川、赤石沢、聖沢、日影沢、倉沢、所の沢など多数の河川が存在します。その中から、後々トンネルや導水路のルートと一致する河川だけを前もって選んで観測地点を設置していたとは不可解です。 したがって、 「JR東海・国土交通省どちらもトンネル工事が大井川の流量に影響を及ぼすものと予想し、後々の導水路設置を視野に入れながら流量観測を行っていたが、その事実を伏せたまま南アルプスルートを採用し、なおかつ大井川への影響が大きくなる西俣沿いのルートを選んだ」 という可能性が出てきます。 意地悪く考えると、「ルートも構造もあらかじめ決まっていた。南アルプスルートの採用に当たり都合の悪い試算結果は同ルート決定後まで伏せていた。」のかもしれません。 いずれにせよ、JR東海は今のところ、ルート選定における河川への影響の検討状況を明らかにしていません。それが公表されなければ、流域の人々としては協議をもつことさえ難しいでしょう。 |
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